こんにちは。
ご訪問ありがとうございます。
今日はこちら、『アフターサン』。
大好きすぎて、言葉がまったく追いつきません!
「うわっ、うわっ、なにこれ最高!」な映画。
幸福感、痛み、苦さ…いろいろな感情を静かに焼き付けてくれます。
何度も観直したくなる、繊細・丁寧な映画をじっくりと味わってみるのはいかがですか?
🌞あらすじ🌞
11 歳の夏休み、思春期のソフィ(フランキー・コリオ)は、離れて暮らす 31 歳の父親・カラム(ポール・メスカル)とトルコのひなびたリゾート地にやってきた。 まぶしい太陽の下、カラムが入手したビデオカメラを互いに向け合い、ふたりは親密な時間をともにする。 20 年後、カラムと同じ年齢になったソフィは、懐かしい映像のなかに大好きだった父との記憶を手繰り寄せ、当時は知らなかった彼の一面を見出してゆく……。
出典:映画『aftersun/アフターサン』公式サイト 5/26(金)公開 (happinet-phantom.com)
🌞こんなときにおすすめ🌞
ハリウッド超大作や人気マンガの映画化とは一味違う、ちょっと大人な映画を観たい
★★★★☆
🌞語りたいポイント🌞
(※※※一部、内容に触れてますのでご注意ください!!※※※)
ずっと留まっていたくなる幸福な夏休みと、その裏にあるヒリヒリした痛みが最高すぎる!!
語りたい、というよりもはや「叫びたい」レベルで大好き。
観終えたときにはさまざまな感情が焼き付いている。
繊細・丁寧に父娘で過ごす夏休みの様子が描かれている『アフターサン』。
じっくりと静かに見つめるような雰囲気がたまらない。
前半、お互いのことが大好きという気持ちで満ち満ちている父娘の様子は、
ずっとこの幸せな世界に浸っていたいと思わされる。
ところが、それだけでは終わらない。
話が進むにつれ、「娘のことが大好きな優しいパパ」だけではない面が
少しずつ明かされていく。
そこもまた淡々と語られている。
そして、静かに明かされていくからこそ
思わず息を止めつつ、画面を見守ってしまう。
幸福な父娘の世界が壊れないことを祈りながら。
大人になったソフィと同じ目線でパパ、カラムを見ていると
子どもには見えない/見せない危うさが見て取れる。
その不安定さは、時にこちらの胸が苦しくなるほど。
カラムの繊細さや抱える苦しみにヒリヒリする。
そして、「パパ」ではないカラムの姿が浮き彫りになると、
子どものときには分からなかったカラムの行動の意味や、
幼さから来る残酷さもまた
浮かび上がってくる。
ソフィがそれに気づいてしまったとき、自分の中にあった記憶の印象は
大きく姿を変えたんじゃないかと思う。
ソフィにとってあの夏休みは、大人になるまではまぶしくてキラキラとした思い出だったはず。
そこに潜んでいたカラムの危うさには気づいていなかった。
大人が、特に自分の親が、時に繊細で、危うい面を持つなんて
子どもの頃は想像すらできなかった。
それは、自分も大人にならないと分からない、見えない。
そして、親と近い立場になって、彼らのことを理解できるようになったとき、
幼い頃の思い出には別の角度から光が当てられる。
親を理解できるようになることは良いことの場合もある。
でも、『アフターサン』を観ながら感じるのは、ほろ苦さだった。
それは、ソフィがカラムを理解したことで、
きっとソフィにとって「まぶしい夏休みの思い出」が、ただまぶしいだけのものではなくなってしまったから。
そのことが切なくて、ほろ苦い。
そのほろ苦さも、楽しい夏休みを過ごす幸福感も、カラムの痛みも、
気づけば全部が刻みついていた。
苦しさや痛みも含めて、何度でも見返して味わいたいと思わされる映画。
大切な夏休みを描いたこの映画は、
私にとっても大切にしたい1作となった。